tearless【連載中】
“一緒に逝こ?”
更に強くなる力に、少しずつ遠のく意識。
それでも腕を動かしていると、何かを掴んだ私は、それを力の限り裕樹の背中に振り下ろす。
“う゛っ……”
苦痛に歪むぼやけた顔が見えると、横に擦れる様に倒れた裕樹。
咳き込みながら何とか起き上がり横を見れば、背中にナイフが刺さっていて…。
シャツに滲んでいく赤い液体。
それは、どんどん広がっていく。
“もう…一人は、嫌……だ……”
自分でナイフを抜き取ると、“カラン…”と床に落ち、軽快な音を立てた。
“あ…、わ、わた……し…”
ガタガタ震える私に、祐樹の血に染まった手が頬に触れる。
「嫌ぁっっっ!!!!!」
そんな悲鳴と共に、目が覚める。
びっしょりと汗をかいた体や額は、ひんやりと冷たくて。
シャワーを浴びるのが、当たり前になっていた。