tearless【連載中】

“はい、すいません。”

“気を付けます。”



進路指導室で隣に座る友里からは、謝罪の言葉ばかり…。



私は何もしていない。

私は悪くない。



そう思うけど、理由なんて話せない。

話せるハズがない。



だから、窓から見える寒空をずっと見つめていた。



「友里…、ごめん」



指導室を出るなりため息をつく友里に謝る。

そんな友里は、何も言わず私の頭を軽くつつくと、“最近の葵、やっぱり変だよ”先を歩きながら言葉を吐き出した。



「寝不足なだけ…」

『…そうは見えないけど?』


“なに隠してるの?”足を止め振り返る友里と不意に目が合った私は。

“寄る所あるから、先帰ってて”逃げるように靴を履くと、速足で駅に向かった。



一体、私は何を考えているのだろう…。



そう思うのに、足はどんどん加速するばかり。



もう限界だったんだ。

隠すのも、悩むのも、夢に魘されるのも…。





だから、私は……………。







< 226 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop