tearless【連載中】
『葵?』



異常を感じたのだろうか?

結衣が私の元に駆け寄ると“璃琥先輩!?”と驚いた様に呟いた。

それと同時に視線が外され、何も言わずそのまま私達に背中を向けると階段をダルそうに上がっていく。



“……、”



完全に姿が見えなくなると緊張が解けたのか、その場に崩れ落ちてしまった。



『葵ッ!!』



慌てて私の腕を持ち立ち上がらせてくれた結衣は“どーしたの!?顔色悪いよ?璃琥先輩と何かあった?”そういいながらとりあえず席まで運んでくれた。

イスに座るとちょうどチャイムが鳴り、授業の開始を知らせる。

ガラン…とした教室に響くスピーカーの音を気にする事も無く、結衣は私の背中をさすってくれていた。



「ありがと…。もう大丈夫」



まだ少しドキドキするけど、だいぶ落ちついた。



ゆっくり手を止めた結衣は、横から私の顔を覗き込んでまた心配そうな顔をする。


 
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