tearless【連載中】
『…バカ……』



私の肩に顔を押し付け、体を震わせ泣く結衣。

その小さくなった体を優しく抱きしめながら、また胸が締め付けられた。



私がアイツを思い出す度に、結衣も苦しんでたんだ…きっと。



「ごめんね…結衣」





ねぇ…結衣。

無理やり作った笑顔を見ていつもどう思ってた?

泣かない私をどんな気持ちで見てたの?



様子がおかしいって気付きながらも、いつも私の隣で何も聞かずにただ笑っててくれた結衣。

泣いてる姿なんか見た事無かった。

いつも私の事引っ張ってくれて、励ましてくれてたのに…。



お願い。



「もう、泣かないで…」



こんな私なんかの為に。



今はまだ話せないけど、いつかちゃんとアイツを忘れるから…。

忘れて、本当に笑えた時話すから。



それまで



「結衣には笑ってて欲しい」



アイツを忘れる為にも。



『…覚えてて…』

「えっ?」


突然肩に乗せていた顔を上げると、涙でグチャグチャになった目で“…私は、ずっと葵の味方だからね”って柔らかい表情で微笑む。



「うん…。…いつかちゃんと話すから…」

『待ってる』



そう言うと、私から離れた結衣は鞄から鏡を取り出し“嫌~!!こんな顔じゃ拓磨に会えない~”って嘆く。

その姿を見てホッとすると、私は腕をギュッと組み



“ありがと”



そう小さく呟いた…。


 
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