tearless【連載中】
「…戻ってもいい?」



ここに立ってても仕方ないし、これ以上新条先輩と向き合ってるとまた何か言われそうだから。



『…そんなに俺と居るの嫌?』



煙の間からぼやけて見える瞳は遠くを眺めている様に見えた。

無表情のまま、ただ煙草を吸っては煙を吐き出す事の繰り返し。

この男は一体何を考えているのだろう?



「…嫌ってゆーか、私にケチつけてばっかだし…」

『元彼に似てるから』



“だろ?”そう付け加え、私を見上げる。



「別にそんな事…」



そうは言ったけど、違うとは言い切れなかった。

実際似てるし、一緒にいると嫌でも思い出しちゃうから。

早く忘れたいのに、忘れられなくなる…。

新条 璃琥を見てると―……。



『そんな顔すんのってソイツのせいなんだ?』



“逢う度にその顔すんのは、俺が似てるから…”



図星だった。

全くその通りで、言い返す言葉も見つからない。



「…だったら何?」



強がって何でも無いって思わせるのが今の私には精一杯。

これ以上もう何も聞かないで。

お願いだから―……。



 
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