tearless【連載中】
「…はい」



そう言うと、その3年生は何を思ったのか璃琥の頭を思いっきり殴った。



『璃琥、可愛い子が来てる』

『痛ぇ…。雅貴(まさき)テメェ…』



ムクッと机から顔を上げ頭を抑えている璃琥に“後ろ”と言うと、こっちに視線を向けた。



『じゃあね』

「はい…。ありがとうございました」



呆気にとられている私に、また爽やかな笑顔を残しさっき居た場所へ戻っていった。



『マジ痛ぇ…。雅貴の奴ぜってー許さねぇ…』



多分今すごーく機嫌悪いと思うけど、このまま帰る訳にも行かないよね。



「璃琥…?」

『んだよ?』



せっかく返しに来たのにその言い方は何!?

やっぱムカつく!!!!!!



「ブレザー」


背中に袋を押し付けると、ようやくこっちを振り返った。

欠伸をしながらまだ眠そうだ。



『可愛いってお前か…』

「何よ?」

『別に』

「どーせ可愛くないですよ!!」



袋を胸に押し付けると“ありがとうございました”と嫌みたらしく言い背中を向けると足を廊下に出した私。


 
< 45 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop