tearless【連載中】
『じゃあ、葵も仲良くやれよ』



そう言うと、私に背中を向けて廊下を歩いていってしまった。



あの日と同じ様に…――。



「仲良くって…何よ…」


1週間前まで付き合ってたクセに、もう他人面しちゃって…。

バカじゃん…。



『っつーか、お前よく男に絡まれんな』



“ったく…”と呟くと頭が軽くなった。



「璃琥が一番絡んでる」



そう呟くと溜息をつく私。



最近、本当ろくな事ない…。

真那斗に振られてから、ナンパ男と璃琥に絡まれるわ、アイツを頻繁に思い出すわ…。



“…でも、真那斗のお陰で私はアイツを思い出さずに済んでた…”



そう…。

今更だけど、一緒に居たときは忘れてたんだよね。

私、あの笑顔にずっと縋ってたんだ。

忘れたくて、辛い思いしたくなくて甘えてた。

これじゃ、アイツからただ逃げてるだけの弱虫じゃん…。



そう思い知らされた。



『葵…』

「ッ!!!?」



後ろから急に耳元で名前を呼ばれビックリした私は、思いっきり肩が上がってしまった。

“こーゆう時に艶っぽい声出さないでよ…”

ドクドクいってる心臓を抑えながらゆっくり振り向くと、顔が近付き“独り言多すぎ”って呆れながらも笑顔を見せる。


 
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