tearless【連載中】
いつの間にか寝ていたらしい。

物音がして目が覚めると、部屋の中はオレンジ色のライトで染められていた。

ゆっくりとベッドから起き上がり部屋を出ると、ふらつく体でリビングに向かう私。

“友里…?”言葉を発すると、ダイニングのイスに腰を下ろしテーブルに突っ伏す。

私にすぐ気付いた友里は“大丈夫なの?”と言いながら、パタパタと足音を立てこっちに向かってきた。



「お帰り。ってか今何時?」



時計を見る気にもなれず、ただテーブルに顔を付けている私に“もう7時過ぎたよ”と頬に手を当てる。

その手がすごく冷たかった。



『学校から連絡来たんだけど、仕事抜けられなくてさっき帰ってきたの』

「そっか…。でも熱出しただけだし大丈夫だから」

『…でも、ごめんね?』


ポツリと呟くと、またキッチンへと戻っていく。

すぐに“トントン”とまな板をリズムよく叩く音が耳に入り込み、何となく心地よさを覚える私。



 
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