tearless【連載中】
“嫌わないでやって…”


雅貴先輩が放った言葉が胸に突き刺さり苦しい。

周りの目を気にして、璃琥を諦めようとしていたから…。

璃琥本人が嫌いになった訳じゃないけど、結局は嫌う事と一緒。

関わらない様にしようと思ってたんだから…。



「はぁ…」



溜息をつくと、その場にしゃがみ込んだ。

静まり返った学校内は、授業の真っ最中…。

それなのに私は璃琥の事で頭が一杯で。

雅貴先輩にあんな事言われて、どうしていいのか分からなくなった。



自分の気持ちに正直になるべき?

でも、今日みたいな瞳で毎日見られる事に耐えられるの…?



「…怖い…」



やっぱり怖いよ…。



分かってる。

逃げたって何も変わらないって。

何も解決しないって。



そんな事、私が一番分かってるはずなのに…―――。



「…弱虫…だよね…」



誰にも話せず、殻に閉じこもっちゃってさ。

情けないよ、本当。



―とその時、ポツ、ポツと雨音が聞こえてきた。

6月も半ば。

梅雨空は、私の代わりに泣いてくれているのだろうか。



 
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