tearless【連載中】
「…じゃあ放っといてくれれば良いじゃん…」
どうして私はこんな事しか言えないんだろう?
これじゃあ、可愛げないって言われても仕方ない…。
『…こっち向け』
低く静かに放たれた言葉が心に影を落とす。
怒った…?
また、あの冷たい瞳で私を見るの?
「何で向かなきゃならなッ」
腕をグッと引かれ遮られた言葉。
向き合う形になっても尚、顔だけは上げられなかった。
『何で俺を見ない訳?』
頭上から降ってくる言葉にゴクリと息を呑むと、髪の毛からポタポタと垂れる雫を見つめる。
足元には水溜まりが広がり、映り込んだ私と璃琥がユラユラと揺れ動いていた。
『葵…』
本格的に降り始めた雨音に混ざり私の名前が耳に入り込む。
「…お願い、離して…」
こんな顔見られたく無いんだって。
分かってよ…?
それでも璃琥は“顔上げたら離してやる”と腕を離す気配はない。
一つ深呼吸をすると覚悟を決め、私が折れる形でゆっくりと顔を上げた。
アスファルトから足元、胸、首、と視線を上げる。
璃琥も傘を差していなかった為、シャツが肌に張り付いている。
どうして私はこんな事しか言えないんだろう?
これじゃあ、可愛げないって言われても仕方ない…。
『…こっち向け』
低く静かに放たれた言葉が心に影を落とす。
怒った…?
また、あの冷たい瞳で私を見るの?
「何で向かなきゃならなッ」
腕をグッと引かれ遮られた言葉。
向き合う形になっても尚、顔だけは上げられなかった。
『何で俺を見ない訳?』
頭上から降ってくる言葉にゴクリと息を呑むと、髪の毛からポタポタと垂れる雫を見つめる。
足元には水溜まりが広がり、映り込んだ私と璃琥がユラユラと揺れ動いていた。
『葵…』
本格的に降り始めた雨音に混ざり私の名前が耳に入り込む。
「…お願い、離して…」
こんな顔見られたく無いんだって。
分かってよ…?
それでも璃琥は“顔上げたら離してやる”と腕を離す気配はない。
一つ深呼吸をすると覚悟を決め、私が折れる形でゆっくりと顔を上げた。
アスファルトから足元、胸、首、と視線を上げる。
璃琥も傘を差していなかった為、シャツが肌に張り付いている。