tearless【連載中】
「璃琥に気を遣わせてるの分かるんだよね…」

『でも、それで良いって言ってるんでしょ?』

「うん…まぁ」



そうだけど…。

そうなんだけど、無理させてないか心配だよ…。



『ちゃんと話したら?』



机に視線を落としていた私を覗き込む結衣。

みんなに心配掛けてばっかで、私…本当何やってんだろ…。

まだ誰にも話してないアイツとの事も、やっぱり消えてくれなくて…。

言ったら楽になるのかな?

言ってどうにかなるものなのかな…?



「う…ん…」

『あと1週間で、夏休みだよ?』

「夏休みか…」



“ハァ―”溜息を漏らすと、頬杖をつく。

去年までは凄く嬉しかったのに、今年は全然嬉しくない。



“暫く逢えなくなるのかな?”



付き合ってる訳じゃないし、璃琥もバイトあるって言ってた…。

前にある黒板をボーッと眺めながらそんな事を考える私。



『そんな顔しないの!!』

「…うん」

『しっかりしなよ!!じゃあ私、電話してくるから♪』



昼休みは、必ずメイクと電話は欠かさない結衣。

教室を出て行くその後ろ姿を見送ると、机に突っ伏し日除けの為に閉められているカーテンを意味もなく見つめた。


< 96 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop