tearless【連載中】
フッと鼻で笑うと“相変わらず可愛いくねーな?”と、いつものセリフ。



「もともと可愛くないし…」



あからさまに顔を背けると、行き場を失った瞳が宙を泳ぐ。

と、璃琥が突然髪に触れたかと思うと“今日ストレートだな?”そう言いながらスーッと指を通す。

その動作に急速で速まる鼓動が、うるさく体中に響いた。



「たっ、たまには良いかなって…」



いつもと違う璃琥に戸惑いながらも、バクバクする心臓に上手く口が回らない…。

“ふーん…”そう言うと手からパラパラと落ちていく髪。

その触れた部分が熱を持ったように熱くて、更に火照る体にギュッと目を瞑った。

それでも落ち着かない体に、下を向いたまま固まっていると、“はぁ…”と聞こえた溜息。



『つーか、マジうぜー』



トーンの下がった声にビクッとして、ゆっくり振り返ると、私に背を向け立っていた璃琥。



“私じゃ無い…?”



静かに教室に視線を移すと、気まずそうに目を泳がせる人達が視界に入ってきた。



「り…く…?」



不機嫌オーラを放つその姿に、教室中の空気が重くなっていくのが分かる。



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