誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~


眼鏡をずらし、眉間にシワを寄せ、履歴書に目を通していたセンター長は一人うんうんと頷きながら、次第に笑顔になっていく。



「いやぁ~、あなたのような経験者の方にきて頂けたら心強い。なんせ、こちらは素人ばかりで…

本社から桐谷くんがきてくれて、何とかここまで漕ぎ着けたという感じでね~。

で、リーダー研修も終わられて?」



「はい、一応は」



「はやぁ~、ありがたい。あなたのように美しい…いや、失礼、聰明な方にきて頂ければ言うことありません。

ただ…あちらとは地価が違いますから、時給は些少下がってしまいますが…いいですかねぇ?」



「はい」



「桐谷くんの方からは、何か?」



センター長に促され、ようやく落ち着きを取り戻したかに見える敬が口を開いた。



「若松さん…ですね。こちらへこられた動機は何ですか?」




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