誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
彩は黒目がちな大きな瞳を、真っ直ぐに敬に向ける。
「はい、好きな人を追いかけてきました」
「その人は、それを知っているんですか?」
「いえ。わたしの独断です」
「もし、その人が受け入れてくれなかったら…どうするつもりですか?」
「そのときは……きっぱり諦めます。
わたしは今まで、失うことが怖くて、傷つくことが怖くて、本当の自分の気持から逃げてばかりきました。
でも、もう逃げるのはやめにしました。すべて捨てるつもりで、なりふり構わずぶつかんなきゃ、喧嘩には勝てませんから…」