誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
「ふぁ、あ、あ~~、き、き、桐谷くんっ…」
腰を抜かして立ち上がれないセンター長を尻目に、二人のキスシーンを一目見ようと、オフィス中の社員達が仕事を放り出して集まってくる。
「キャーッ!見て見て~っ!」
「お、おおーっ!」
「ステキ~~、映画みたいさ~」
「ヒューヒュー!」
「ぐ、ぐやじ~っ…」
「行けーっ!桐谷!そのまま押し倒せーっ!」
増えていくギャラリーの気配に、嬉しさよりも気恥ずかしさが先に立つ。
「……っ、ダメっ…ぁっ…」
敬の胸を押し返し、何とか剥がした唇を、また角度を変えて塞がれる。
「ん、ふ……」
ますますキスが深くなる。
「………ぁ、ん……」
理性がとろけ出す。