誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
あれは確か、学園祭の打ち上げの夜――
ふと気づくと隣の席で飲んでいた敬が、
「俺、彩先輩のことが好きです」
頬を赤らめながら、真っ直ぐに彩の目を見て、そう呟いた。
えっ…
その一瞬、彩は息が止まったような気がした。
敬にすれば、酔った勢いで軽く出た言葉だったのかもしれない。
それでも、最上級生になり、男子にめっきり女のコ扱いされなくなっていた彩にとって、それは衝撃的な一言だった。
ドクドクドクドク…
甘い疼きが身体中に広がってゆく。
酔いもあった。彩は敬の耳元に唇を近づけ、そっと囁いた。
「あたしも敬くん、大好きだよ」