誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
思わず食い気味に立ち上がって叫んだとき、
「ごめんなさいね~」
斉藤さんがFAX用紙をヒラヒラさせながら会議室に舞い戻ってきた。
「あら、若松さん、どうなさったの?」
「いえ、あまりお待たせしても何なんで、いったんデスクに戻って頂こうかと…」
彩の代わりに、敬が涼しい顔で答える。
「そうなの。わたしからは……
もう、特にないですけど?」
な、ないのかよっ?!
彩はまたつんのめりそうになる。