誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
そうよ。
きっと、ちょっとからかってみただけよ。
喫煙室に行った理香と別れ、給湯室で二人分の弁当箱を洗いながら、彩はまた敬のことを考えていた。
敬……
五年前のあなたは、まだ高校生みたいにあどけなくて…
おでこにはまだニキビ跡がポツポツ残ってたし、人の目を真正面から見れないで、いつもちょっと伏し目がちだった。
取り巻きの女の子に騒がれて、頬を赤らめていても、どこか迷惑そうで…
そんな敬が、たまらなくカワイイと思ったけど…まさか敬の目が三つも年上のあたしを追ってたなんて、思いもしてなかった。
だから、あのとき…