誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
「まぁ、そんなことだろうってごまかしといたけどさ…
気をつけなよ。あの妖怪色気ババァ、自分が会社で一番きれいだと思ってるらしくて、それを脅かす彩のこと、前から目の敵みたいに思ってんだから。
それに、桐谷を絶対落とすって豪語してるって。どんな男でも落とすテクがあるんだってさ…ったく、バツイチコブ付き三十路の三重苦のくせに、あつかましいったら…」
「あたしだって、バツイチみたいなもんだし…」
「何言ってんの。彩は婚約解消しただけでしょ?そんなのフツーにあることだし」
「そうかな。寿退社目前に結婚相手に逃げられて、会社にも居づらくなって…ある意味バツイチより悲惨じゃない?」
「はい出た!彩お得意の自虐プレイ」
「ふん。別に好きでやってるわけじゃないわよ」
ふてくされて、エビフライを尻尾ごとバリバリ噛んだとき、テーブルの上で携帯が震えた。