誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
『業務連絡 2
緊急時に備え、社員はパート社員の個人情報を全て掌握しています。
今回の私的流用に関しましては、貴方様に個人情報漏洩と訴えられるのも覚悟の上のことと、ご承知置き下さい。
桐谷敬』
緊急時…ねぇ…
彩は額に右手を当て、左手には携帯を握りしめ、しばらく唸り続ける。
「彩?どうかしたの?」
五分もの沈黙の後、彩はようやく意を決して口を開いた。
「理香、今週の土曜の夜なんだけど…」
「うん」
「敬からお誘いメールが入った」
「えっ?そうなの?えっ?いつの間にアドレス教えたの?」
「それはこの際置いといて…理香、一緒に行ってくれる?」
「はぁ~?何であたしが?」
「お願い!」
彩は両手を合わせた。