誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
ダイニングバーにて
そして約束の週末の夜――
「その服、マジでエロくね?」
大人っぽいシルクシフォンのワンピースで待ち合わせ場所に現れた彩は、理香に開口一番そう言われて目を丸くした。
「え~、どこが?肌もほとんど出してないし、理香のミニスカートに比べたら、うんと地味じゃない」
「そういう身体のラインがそこはかとなく浮かび上がんのが、想像力かき立てられるっつーか、男の目から見たら一番ヤバいんだって」
「うっそ~っ」
「うっそ~じゃないよ。そうやって無意識に色気振り撒くとこが天然だっつーの。
今日は桐谷とちゃんと話すためにきたんでしょうが。あたしもそれなりの援護射撃を想定してきたんだから。それじゃあ、反対に誘ってるようなもんじゃない。
…ったく、彩は言うこととやることがバラバラなんですけど」
「そうなの?ごめん…。
でも、ほら、理香の脚だって、すごくキレイだよ。その脚見て何も感じないなら男じゃないって」
「………そう?」
「そうだよ。ほら、誰だっけ…あの、韓国アイドルグループみたいだし」
「そうかな…」
「そうだよ~」