誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
「ヨロシクっ」
さりげなく手を差し出すタイミング、笑顔、ともにマル。
ふ~ん。
スタイリッシュで大人っぽい敬とは全然違うけど…こういうタイプも悪くないかな?
なんて考えながら、隣を流し見ると…
さっきまでの仏頂面はどこへやら、理香の目は完全なるハートマーク。瞳の中にはキラキラ星まで輝いてる。
ダメだ、こりゃ。
この分じゃ、今日の理香は援護射撃どころか、ガードにもならない。
一通りの自己紹介を終えた四人は、奥まったボックス席へと通された。
「あっ、俺はビール」
「あたしもっ」
理香がソッコー、和也に食いつく。
「じゃあ、わたしはカシスオレンジを…」
「俺はウーロン茶で」
「えっ?桐谷さん、飲まないんですか~?」
「ええ、車ですから」
「え~、せっかくそのクールフェイスの裏の顔、暴いてやろうと思ってたのに~」