誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
「理香っ」
いきなり暴走気味の理香の袖を引っ張る。
…っつーか、あたしがガード?
「じゃあ、俺が代わりに披露しますよ。桐谷敬の華麗なるイケメン伝説~~パフパフ、ドンドンドンドン」
「イェ~イ!」
「イェ~イ!」
テーブル越しに満面の笑顔でハイタッチを決める理香と和也。
「和也、おまえなぁ…」
ため息混じりに小首を傾けた敬は、ふと、向かいの席の彩と目が合う。
「あっ…、適当に聞き流して下さいね。サービス精神旺盛なヤツだから。
そんなことより、今日の彩さん、素敵です。思わず見とれてしまいます」
ドッキン。
鼓動が跳ね上がる。
「そんな…」
言葉を濁し、あたふたと視線を外したが、敬の方は目を反らさない。
彩に吸い寄せられるように、熱く潤んだ瞳でじっと見つめ続ける。
お願い、そんなに見つめないで。
ドキドキが止まらなくなっちゃう…