誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
理香はそんな彩を置き去りに、和也の語る敬の都市伝説に夢中だ。
バイト先のイタメシ屋は敬を目当てに来る女性客で溢れ、伸ばした売上で支店を幾つもオープンさせたとか…
イケメンがいるという噂を聞きつけて、モデル事務所やホストクラブから毎晩のようにスカウトがあったとか…
「それじゃ、選り取りみどりの入れ食い状態だったの?」
「それが…どんだけモテても、敬さん、女にはつれないってゆーか、執着しないってゆーか…つき合っても、すぐに冷めちゃうんすよ。
それに比べて、野郎にはメチャクチャ優しくて面倒見がいいから、アッチ系じゃないのかって噂もあって…」
「マジでぇ~?」
「だから今回、久々に切羽詰まった感で敬さんから連絡あったとき、正直ヤバいって焦りました。
俺、ついに敬さんに抱かれるのかなって…いや、敬さんならいいかな…なんて…」
「ヤダァ~!!」
理香と彩は思わず顔を見合わせた。