誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
貫禄の熟女パワーに、さすがの妖怪色気ババァも出る幕なし…か。
あれっ?
さっきまで、ビールグラス片手に、敬の取り巻きを睨みつけていた中島の姿が見当たらない。
トイレでも行ったのかと、大して気にとめていなかったが、しばらくして荷物を手に店に戻ってきた中島はひどく顔色が悪かった。
「中島さん、大丈夫…」
そう声をかけた彩の前を素通りし、ソファの背越しに敬に何か耳打ちをした。
驚いたように立ち上がる敬。
「ちょっと、すいません」
群がるオバサン達をかき分け、今にも倒れそうな中島を支えながら、二人して店の外へ。
えっ。
彩は思わず二人を追いかけた。