誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
「あの…」
彩の声に、通路の途中で振り返る二人。
「何かあったんですか?」
「ええ。中島さんの娘さんが、事故で病院に運ばれたそうで…」
「ええっ!!」
「今から病院まで中島さんを送ってきます。せっかくの懇親会、途中で抜け出して申し訳ないですが…
若松さん、必ず戻ってきますから、できれば楽しいムードを壊さないよう、後はお願いしていいですか?」
「あ…は、はい、わかりました。お気をつけて」
「さっ、中島さん、急ぎましょう」
二人の後ろ姿が視界から消える寸前、彩は信じ難いものを目にした。
敬の肩越しに振り返った中島が、こちらを見て勝ち誇ったようにニヤリと笑ったのだ。
…え?中島…さん?
!!!!!