誘惑男子①～アブノーマルに抱きしめて～

数秒後、彩は中島が嘘をついていることを確信した。



中島さんっ？！



子供を利用してまで？



ひどいっ！ひど過ぎる!!



目的のために手段を選ばない中島に、言いようのない怒りが込み上げる。



それでも、二人を追いかけ、中島を問いつめ、敬を取り戻すことなどできない。



そんな権利、あたしにはない。



あたしは…敬の彼女ではないのだから。



それどころか、五年前、敬から逃げ出し、敬を傷つけたのはあたしなのだから。



…だから…バチが当たったんだ。





敬は帰ってこない。



もう、二度とあたしのところへ…