誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
「あんたほんとに本社のバリバリエリート社員が、こんなコールセンターであたし達みたいな使い捨てのパートを相手にするとでも思うわけ?」
理香はラーメンでテラテラに光った唇をツンと尖らせる。
「…わかってるっつーの。でも、こんな、中年のオバサンばっかのクソ面白くないとこで、毎日毎日ムカつくお客にヘコヘコ謝ってばっかでさ…
たまには、運命の出会い系夢見て弾けたいじゃん」
「そりゃそうだけど…」
「彩だって、いつも言ってるじゃん。毎日退屈だって。せめて鑑賞用のイケメンでもいればって」
「う、うん…でも、あいつはダメ」
「何で何で?」
「だって、三つも年下だし…」
理香が上下の付けまつ毛をしばたかせる。
「えっ、そうなの?えっ?何で彩が知ってるの?」
ヤバっ。
「えっ、あっ、ほら、副社長が、入社三年目だって…」