誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
あ……
彩はひたすら押し隠してきた敬への想いを、中島への嫉妬に駆られてぶちまけてしまったことにようやく気づく。
「あ、あたし…いや、ヒック、そういうわけじゃなくて…ヒック…」
我に戻った彩は、慌てて敬から離れようとする。が、敬は彩の腕をぐいとつかみ、もう一度胸に抱き寄せた。
「ダメ。もう離さない」
「え…」
「そんな可愛いこと言って、こんな色っぽい恰好で抱きついといて…
今さら、そういうわけじゃなくては聞きませんよ」
「そ、そんな…」
「今夜の俺は、もう止まらないから…」
カーッと頬が熱くなる。
「ふふっ。そうやって、すぐにムキになって赤くなるとこも…可愛い」
火照った彩の頬に手の平を当て、ふんわりと甘く微笑む敬。
「彩さん……いや、彩って呼んでいいかな?」
少しはにかんで敬が聞く。
微かに頷く彩。
「彩……」
うつ向いた顎を、くいっと指ですくい上げられる。