誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
三度、第三会議室へ
夢のように甘い甘い週末が終わり、憂鬱な月曜が社内でのリーダー研修とともに始まった。
先輩リーダーの隣の席に座り、一日中レクチャーを受け続ける。
ただひたすら電話をとり続けていた、一オペレーターの日々が無性に懐かしい。
敬はと言えば、一番前のサテライト席からオフィス全体を見下ろし、相変わらずしれっと仕事モード。
彩がときどきチラリと投げかける視線も完全スルー。
この二重人格男がっ。
それでも、敬との熱い一夜を思い出す度、つい頬の筋肉が緩んでしまう。
「ダメ。もう離さない」
そう言って抱き寄せた逞しい腕。
「ふふっ。そうやって、すぐにムキになって赤くなるとこも…可愛い」
火照った彩の頬に手の平を当て、ふんわりと甘く微笑む敬。
「彩さん……いや、彩って呼んでいいかな?」
見惚れるほどに端正な顔を斜めに傾け、スローモーションで降りてくる唇。
「いやらしいんだ…彩は。でも…そんな彩も、可愛い」
そして、やがて訪れた至福の瞬間―――