誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~
思わず身体の芯が熱くなり、慌てて怖い顔を作ってみる。
…それにしても、あんなことがあった後で、メールの一通もよこさないなんて。
「やっぱ、あたし、いいようにあそばれたのかな…」
つい、理香に愚痴をこぼす。
「はい出た。いくら趣味とはいえ、よくまぁそんな幸せの絶頂に自虐プレイ、するよね~」
「絶頂だから怖いんじゃない。あ~こんなことなら、まだ気を許すんじゃなかった~」
「あ~、そんなこと言っちゃっていいのかな~?彩が研修から帰ってきたら、いいこと教えてあげようと思ってんだけどな~」
理香は箸で突いた玉子焼きを、彩の目の前で思わせ振りにクルクル回してみせる。
「何よ。もったいつけて」
「フフフッ…今度の週末~、一泊で温泉に行こうって、和也がさぁ~」
「はぁっ?…だから何だっつーの?」
「だからぁ、あたしと和也と~、彩と桐谷と四人でだよ」
「えっ…」
「ウフッ、話の出どこは意外にも桐谷だって」
「ウッソーーーっ?!!…あっ」