誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~


社食で理香とさんざん盛り上がった数日後――



センター長から告げられた突然の報告に、いったん浮上しかけていた彩の気持は一気に奈落の底へと叩き落とされた。



「え~、以前から皆さんにお知らせしておりました、来月開設予定の沖縄コールセンターですが…

あちらの方は、何と言いますか、穏やかというか、非常にのんびりした方が多くて…準備が大幅に遅れておりまして…

当初三ヶ月の研修予定を急遽早めて、桐谷くんに来週から応援に行ってもらうことになりました」



「え~~っ!」



「ウッソ~?」



「ヤダ~~っ!」



社内がざわつく中、敬が一歩前に出る。



「皆さん、短い間でしたが、いろいろとお世話になりました」



桐谷くんに、来週から…行ってもらう?



「あちらが軌道に乗るまで何年かかるか、しばらく帰ってこれないかもしれませんが…」



何年かかるか、しばらく帰ってこれない?



「ここでの経験をいかして、沖縄でもがんばります。ありがとうございました。皆さん、お元気で」



皆さん、お元気、で……





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