笑わない女と俺
その日の夜。

ベットの上で物思いにふける。

エミと初めて会ったのは同じクラスになった入学式の日だった。

その日、あいつと俺の席が隣り合わせになった。

｢俺、尾倉武文っていいます。よろしく！｣

｢………｣

初日にもかかわらず、無視を決め込んでいるエミ。

｢ごめん、いきなり…。名前聞いていいかな？…｣

だからといって俺もそう簡単には引き下がれないので食らい付いたんだ。
｢山月……、笑美…｣

｢エミっていうんだ。良い名前だね｣

なんだこのやり取りは。

まるで俺はこの子をナンパしてるみたいじゃないか。

そう思っていると。

｢嫌いな名前……｣

｢え？……｣

それから色々話し掛けても、エミは何も話をしてくれなかったけど、最後に言った言葉が気になっていた。

｢嫌いな名前ってなんだよ？…、変なこと言うから、お前の事あれから気になって仕方ないんだよ…｣

ベット上で身体を横にして膝を抱え込む。

｢嫌いってなんだよ…｣
少しずつ睡魔が頭を支配して、意識が消えていった。
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