笑わない女と俺
｢えっ、俺がですか？｣
すると、カトケンが手を合わせてくる。

｢お前、学級委員だろ？、この前の件もあるし、今あいつ一人みたいだし、とにかくさ、何かあっても困るしな…。岩永にも聞いてみたんだけどあいつはあいつで午後忙しいみたいだし、お前しか頼める奴がいないんだよ｣

この前のこともあるし、正直今はあいつに話し掛けたり、そういうのは遠慮したいところだった。

だけど、この状況では断りきれそうもない。
｢分かりました…。一応話し掛けてみます…｣

｢良かった！。助かる。それじゃ頼むな！｣

仕方なく引き受ける事にした俺は、仕事場に戻った。

カトケンの頼み。

学級委員。

そうやって何かと理由をつけて、話し掛けにくいと否定しているのに、気持ちの中でエミに話し掛ける口実が出来たと感じている自分もいて、そんな自分が、自分なのに分からなかった。
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