笑わない女と俺
午後、文化祭は賑わいを見せていた。

訪れているのは、地域の人、隣校の生徒、この学校に通う生徒の家族と、毎回文化祭は賑わうとは聞いていたが、それでも予想以上の人数だった。

おかげで喫茶店もすごい賑わいで、午後の部の生徒との入れ替わりが午後1時を回ってしまい、遅れてしまう。
その後、昼飯にありつけたのは午後1時半を回った頃。俺は、入れ替わりを済ませた後に、適当に売店で購入した物を食べて、校庭の隅で休憩していた。

「なにやってるの?」

背後に人の気配。振り返ると岩永だった。

「岩永か。俺は午前の当番終わったから、飯食べて休んでた。岩永は?」

「私も今ご飯食べて、武文君の事探してたんだけど…」

俺を探してた?。

そういえばさっきカトケンが、岩永は午後用事があるって聞いたって言ってたな。

それって俺に対しての用事だったんだろうか?。

「どうした?、俺、何か手伝う事でもある?」

「ううん…、そうじゃなくて…」

何故かもじもじする岩永。

どうしたんだ?。

「午後さ…、時間あったら武文君、一緒に回らない?。もちろん用事あるなら無理じゃなくていいんだけど!」

「え?……」
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