ブラック王子に狙われて①
「絢にとって、彼がどんな存在か」
「それは………」
「他の何ものにも代えられなくて、どんな人でも埋められないんじゃない?」
「………」
………そうかも。
ううん“そうかも”じゃなくて“そうなんだ”
彼……慧くんじゃなきゃ、私の心の隙間は埋まらないんだ。
「絢!!」
「ふぇ?」
気付くと……涙が溢れていた。
彼と別れて1か月。
1ピースだけ抜け落ちた未完成のパズルが、
今………私の手元にある。
最後の1ピースを、
…………彼が握っている。
きっと、その1ピースが埋まらない限り、
私は………前に進めない。
たとえ、そのパズルが……
再び、バラけてしまうとしても…。