ブラック王子に狙われて①



「あの後……。慧くんと別れてから、本当の気持ちに気付いたの」

「ん?」

「私の心はパズルみたいになってて、1ピースだけどうしても見つからなくて…」

「………」

「だから、その1ピースが無いと完成しない」

「???」



零れ落ちる涙を拭って…



「………その1ピースは………慧くんだよ」

「え?」

「慧くんがいないと満たされない」

「フッ」

「下僕でもペットでも何でもいい!!だから、もう1回だけ…慧くんの心を下さい!!」




無言の慧くんを…

生つばを飲み込み…ジッと見つめる。


すると、

そっと親指で涙を拭ってくれた。




「フッ。お前、言うのが遅ぇよ!!」

「へっ!?」

「どんだけ俺様を待たせんだよ」

「はっ!?」




彼が口角を少し上げて、不敵に微笑む。

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