ブラック王子に狙われて①



「じゃあ、土下座して“お願いします”って言えよ」

「はぁあ?バカじゃないの!?」

「お前、ご主人様に“バカ”って言ったな?」

「へ?」


彼はベンチから、私目指して歩き出した。

段々と近づく彼の目が獰猛な獣のよう。

あまりに怖くて動けずにいたら、あっという間に目の前に。


「フッ。可哀想だからお前にチャンスをやる」

「へっ?」

「い――――――ち」

「なっ、何!?」

「に――――――い」

「ちょ、ちょっと、分かんないよ」

「さ――――――ん」

「えっ??」

「ざーんねん!!」

「何?」

「お前、ホントにバカだな」

「はぁあ?」

「下僕ごときがご主人様に向かって、“バカ”って言っていいと思ってんの?」

「え゛っ!?」

「今日からみっちり、しつけてやる。有難いと思え?」

「は?……っんッ!!」


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