ブラック王子に狙われて①
やっぱり……キスマーク…付けられた。
私は放心状態で鏡に映る自分の姿を
………呆然と見つめた。
ブ―――――ッブ―――――ッブ―――――ッ……
バッグの中で携帯が鳴ってる。
多分、彼からだと思う。
けど、普通に話せる自信が無い。
“あなたのお兄さんにキスマーク付けられた”
……とは言い辛い。
かといって、何も無かったようにウソをつく自信は無い。
ううん、彼にウソをつきたく無い。
やっと、優しくなった彼の顔が……脳裏に浮かぶ。
さっきまであんなにドキドキしてたのに…。
今は……
別の意味でドキドキしてる。
ブ―――――ッブ―――――ッブ―――――ッ……
………ごめんなさい。
今は出れそうに無いです。
きっと…出たら……あなたにウソをついてしまうから。
その夜、
私は彼からの電話を拒否した。