ブラック王子に狙われて①
「っ!!け、慧くん!?」
彼が門塀にもたれて立っていた。
私はすぐさま駆け寄って…
「お、おはよう。メールしたんだけど…」
「………」
「け…い……くん?」
「…………来い」
「えっ……」
彼に腕を掴まれ…近くの公園へ。
少し機嫌が悪い?
ちょっと前に戻ったみたいに……怖いよ。
そうだよね……。
私が無視し続けたんだもん。
怒るもの当たり前だよね。
夏の強い日差しを避けるように、
木陰のベンチに2人並んで腰掛ける。
けれど、彼は一向に口を開かず…
私も何て話し掛けたらいいのか分からず、
お互い……口をつぐんだまま。
掴まれていた腕がジンジン熱いだけ。