さくらいろ
「そっか。じゃあ、これ荻野にあげる」
え?
差し出されたのは1つのチロルチョコ。
ビター味の。
「くれるの?」
「うん。俺もそんなにチョコ好きさじゃないから」
神木くんの手を見た。
手に軽く握られた茶色いチョコレート。
指…骨ばってるな。
なんか、頑張ってる人の手って感じ。
「そうなんだ。このチョコどうしたの?」
…あ、なんか質問しすぎかな。
こういうときって何も言わないで、にこやかに受け取ればいいものなの?
そういうのわかんないし。
「これは、弁当に入ってた。でもどーせ食べないからあげる」