さくらいろ
「知ってるよ! 野球…頑張ってるよね」
神木くんは驚いたみたいで、少し目を大きくした。
にこっと笑いかける。
「………あ」
神木くんが、廊下の窓から下を見た。
つられて再び窓の外を見る。
…杏里と、見知らぬ男。
見たことないから多分先輩なんだと思う。
「……。」
神木くんのほうをちらっと見た。
無言で一点を見ていた。
…おそらく、二人を。
「ねぇ」
「何?」
神木くんがこっちを見ずに話しかけてきた。