さくらいろ


「知ってるよ! 野球…頑張ってるよね」


神木くんは驚いたみたいで、少し目を大きくした。

にこっと笑いかける。


「………あ」


神木くんが、廊下の窓から下を見た。


つられて再び窓の外を見る。


…杏里と、見知らぬ男。

見たことないから多分先輩なんだと思う。


「……。」


神木くんのほうをちらっと見た。

無言で一点を見ていた。

…おそらく、二人を。


「ねぇ」


「何?」 
 

神木くんがこっちを見ずに話しかけてきた。

< 129 / 185 >

この作品をシェア

pagetop