さくらいろ


「付き合ってるのかなぁ」


言葉が…止まらない。

こんなの、こんなのずるいよ。

だって二人は絶対付き合ってない。


神木くんはすこし、こっちを見た。


「…何?」


「いや、高橋さんなら知ってるのかと思った。仲いいみたいだから」


あ。

胡桃と杏里が仲いいの、知ってたんだ。

杏里から聞いたりしたのかな。

…なんか、複雑。


「この前教科書、借りに来てたし」


…え。

胡桃が教室に行ったこと、覚えててくれたんだ。

じゃあ…自分で悟ったのかな。

そうだったら、

ちょっと嬉しいかも。

胡桃のこと…視界にはいってたってことだよね。

たとえ杏里の友達、って形でも。


「神木くん、あのさ」


…思い切って口を開いた。

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