さくらいろ


ゆっくりとこっちを向いた彼。


「…はよ」


あまり、間はなかった。

胡桃のこと誰だか分かってる見たい。 


でも。

それだけ言って彼はまた前を向いて歩いていってしまった。

…わかってるけど。

神木くんの進む道の途中に胡桃がいないって。

視界にはいらないって。


分かってるけど。

分かってるのに。



胡桃も神木くんの隣の席がよかった。


ため息をついた。

そして神木くんが通っていった廊下を歩く。


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