さくらいろ
「しょうがねぇな」
神木くんは、ふっと笑う。
目がすこしだけ細くなった。
…きゅっ。
胸が絞まる。
朝のHRまでまだ時間があったので、三人はそろって数学の勉強を始めた。
「ここ分かんないんだけど…」
「あ、それはね」
それぞれが分からないところを教え合う。
問題を解いていて、ふっと顔をあげた。
すこし横に目をやる。
神木くんが美夏に教えているところだ。
伏せた目のまつ毛はやっぱり長い。
髪、坊主じゃなくて、伸ばしたら
きっとみんな好きになっちゃうな。
そんなことを思った。