さくらいろ


廊下は通学してきた人たちであふれている。

HRまであと10分だ。


杏里のクラスの前まで来た。


1人の男子生徒が教室へ入る。

サッカー部のジャージだろうか。

すごい汗だくだった。


「あっちーんだけど」

「お前も朝練? お疲れー」


さっきの男子生徒らしき声がした。


「廊下側の窓もあけていい?」


「いいよー」


ガラッ。


いきなり目の前の窓が開いたもんだからびっくりした。

そして教室の中が見えるようになった。






「教えてやるよ、俺そこ分かったから」



―――――――はっとする。


血管が狭くなる。



…鼓動が早くなる。

この声。

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