さくらいろ


神木くんがふっと笑う。


杏里は、目を、伏せる。








ずるいよ。

ねぇ。


杏里そんなかわいい顔しないで。

神木くんが気づいちゃうじゃん。


神木くん、もっと杏里の事好きになっちゃうじゃん。







やだ。


やだ。


やだやだやだやだ。





神木くんに、教科書借りようと思ったのに。


…思った。のに。





涙で視界がゆがむ。



胡桃は教室の前から走って去った。


目からしずくがこぼれる前に。
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