さくらいろ
ガラッ。
「…失礼しまーす…」
保健室はシンと静まりかえっていた。
先生はいないみたいだ。
ちょうどいい。
どうせ仮病なんだからこのほうが都合がいいや。
胡桃はベッドの方へ歩く。
ここにもやはり、誰もいない。
1限からさぼって昼寝しにくるような奴などいなかった。
もちろん、病人もいない。
1限から具合が悪いなら最初から学校をやすむのが普通だろう。
胡桃は一番奥のベッドに乗りふとんを被った。