さくらいろ
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「ねぇ!ここ難しいよー」
「え?どれ?」
1限は家庭科。
今は縫い物の授業をしていて、今日はみんなで巾着袋を作る授業だ。
美夏とうちは一緒に縫っていた。
しかし普段こういうことをしないうちは悪戦苦闘。
美夏にいろいろ教えてもらいながらやっていた。
…女子力のなさを思い知らされる。
「…やっとできたっ」
「え、美夏はやいよ!」
美夏が針と糸をおいた。
うちもつられて手をとめる。
…そういえば、胡桃は今日学校に来ているのだろうか。
朝テスト勉をしているときはすっかり忘れていた。
…いや、すっかり忘れてなんかいない。
心の中で、どきどきしながらも、胡桃の存在がひっかかってた、ずっと。
はやく、早く。
全部つたえなきゃって。