さくらいろ


「え」

神木くんの声がまたする。


うわ、

はずかしいはずかしい。


もう完璧うち、女子力低いって思われた。

こんな簡単な裁縫で手をさすなんて。


思わず手を背中の後ろに隠した。


「あの………いたくないです」

「嘘つくんじゃねぇよばか」


少し、神木くんが笑って言った。


「ごめんな、俺がいきなり話しかけたから」

「え、ちがうよ!うちが下手なだけで……」

「手、血でてる?」


隠していた手を覗き込もうとした神木くん。

だからとっさに言った。


「え?でてない」

「嘘つくなよ、おい」



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